地振り

 ある日、漢字を一文字振ってみたくなり「地球」と「地域」の両方に含まれる「地」を振りました。地振り。それが「じぶり」と読める事に気づきます。世界的に有名なアニメーション制作会社の名前と同じ響きです。

アニマシオン

「アニマシオン」という言葉があります。「魂を活性化させる」「意欲を沸き立たせる」の意味があります。「振り」という言葉から、その「アニマシオン」を感じます。「アニマシオン」は「アニメーション」に通じます。「地域振興」を「地域アニマシオン」と呼び替えると言葉にイノベーションが起こります。地域振興運動の中でも、地域の内側から湧き起こってくる持続可能な地域発展は「内発的発展」と呼ばれます。

 経済学者の宮本憲一は内発的発展を具体的に示す良い例として高畑勲監督の『柳川掘割物語』を幾つかの文章で紹介しています。『柳川掘割物語』はジブリファンの中にもその存在を知らない人が多い映画です。スタジオジブリの公式サイトに掲載されている鈴木敏夫プロデューサーの手による「ジブリの歴史」の中でも『柳川掘割物語』には触れられていません。『柳川掘割物語』は高畑勲監督が新作アニメ映画のロケハンの為に柳川を訪れ、掘割の仕組みや、掘割の保存運動について現地の人から話を聞いてるうちに、そこで学んだ事をそのまま映画にしたくなって作った「地域調べ映画」です。映画はヒットしなかったけど、全ての地域がこの映画を参考にして考えるべき「内発的発展」を表現する事に成功しています。『柳川掘割物語』を観た人がそれぞれの町、それぞれの地域の『柳川掘割物語』を作って、交換する場を作ってみたらどうなるだろう?地域間ネットワークの循環の中に『柳川掘割物語』を放流してみたい。


地域間ネットワーク

 『柳川掘割物語』みたいな「地域調べ」を基にした表現、作品、展示をそれぞれの暮らす地域で作って、地域間ネットワークの中で循環させる。地域活動、地域実践の「オープンシェアの場」を作る。あり得たかもしれない「地振りの歴史」が『柳川掘割物語』を起源に、これからの未来に描かれる。参加者として文化を享受する為に地域を調べる。その地域調べを通して、その地域で取り組みたい課題と出会う。もしくは、その地域で取り組みたい活動を創造する。


演劇ーなぜ?

 今年の4月から息子が小学1年生になりました。これから最短でも中学卒業までは学校の授業を受ける事になります。授業は演劇だと思います。学校の授業を理想的なものにするのに、演劇がこれまでに培ってきた知見を役立てたい。演劇には身体があればその場で即座に表現できる利点があります。身体表現と発声を伴うから必然的に心身が活性化する。自由に発せられる声と動きは場を活性化します。参加する人数も、参加の質も工夫次第で理想的なものに近づけていけます。

 『わたしたちの小さな世界の問題〜新しい教育のために』(マリオ・ローディー著 晶文社)はイタリアの小学校での5年間の授業の記録です。この中で生徒たちが、即興で演劇を行う場面があります。教壇は子どもたちが全身を使って協働で物事を考えるための舞台になる。その実践報告の内容は衝撃的です。授業中、子どもたちの感性がみずみずしく躍動して世界の摂理を演劇によって全身に吸収する様子がローディーの詩的な描写で伝わってきます。こんな授業を受けたかったな、こんな授業を受けさせてあげれたら良いな、と思わされる。ローディーの授業は演劇だけではなく、音楽、地域調べ、村の古老の話を聞く、学級通信作り、詩作、絵を描くなど「表現」と「リサーチ」を通して行われます。身の回りの出来事を教材にしたり、地域調べを行いそれを授業内で議論にしたりと、生徒たちが主体的に授業に参加する状況を促す工夫が随所に盛り込まれている。完璧に構成されたワークショップみたいな授業が5年間綿々と続き、感性が育まれます。授業が表現力を育てる事、協働する事議論する事、感性を育てる事に捧げられます。教室が生きた知性を育む場になっています。

 

この項目は、書きかけの項目です。  )